2015年12月31日木曜日

年末

今日は12月31日。
まさに年末の直中ではありますが「愛のコンティニュアスデザイン展」の写真をWEBに掲載しました。タイトルはLovable Continuous Designです。
10月31日から11月8日間の会期中に2000名を超える来場者があったとか。

今年一年、どうもありがとうございました。
来年もどうぞ宜しくお願い致します!


2015年12月25日金曜日

3台

いよいよ年末ですね。
今年は3台所有していた自動車を、全てまとめて手放した年になりました。
BMWのZ4、メルセデスのG ClassSLKです。

Z4は幌を開けたときの全体の形がとても好きで、エンジンがスムースに回ります。幌を開けて、夕暮れ時にレインボーブリッジを渡る時が本当に気持ち良いです。時々、昼間、しかも信じがたいことに夏にオープンカーの幌を開けている人がいますね。あれはひたすらに暑いだけで、真似しないほうが良いです。
オープンカーは真冬に幌を開けて、暖房を全開でつけながら走るのが最も爽快ですね。特に夜が良いです。都市の風景が全く違って見えます。特にZ4はそういうことを意識しているように思いました。インテリアの照明が非常によく工夫されていて、結果的にインテリア感を夜間に強く感じます。丁寧につくり込まれたインテリアが唐突に外部にさらされているギャップが、とても新鮮な経験を与えてくれるのです。

G Classはハンドル、ブレーキ、アクセル、車重全てが極端に重いです。長年代々のG Classを所有している人が、運転しながら体操しているようなものだと表現していました。その通りだと思います。
そして普通は曲がれるところが、たいがい曲がりきれません。回転半径が大きいからです。結構大きな道路でも一回でUターンできることは少ないです。
利点は、、雰囲気からか、クラクションをならされることが滅多にありません。

SLKはコーナーを安心感をもって走り抜けることができて、そしてパワフルです。故障の少ないC Classをベースにして、かつ走行性能も高い、非常に優秀なクルマだと思います。

3台ともに共通するのは、基本性能の高さですね。
走る、止まる、曲がる。性格はそれぞれ違うのですが、その3つの機能がまずはしっかり考えられているのだろうな、と体感できます。そこがドイツ車の特徴なのかもしれませんね。根本的な信頼感を感じさせてくれます。そこは建築も同じだろうなと思います。


2015年12月10日木曜日

温泉100

今日発売のCasa BRUTUSの温泉100特集で、リニューアルのデザインをした湯河原の白雲荘が紹介されています。ちなみに写真で露天風呂が載っていますが、そこは既存部分です(笑)。

それと後半のページに10月末に開催された「愛のコンティニュアスデザイン展」も紹介されています。会場デザインをした展示です。合わせてぜひご覧ください!

2015年10月31日土曜日

430人

いよいよ本日から「愛のコンティニュアスデザイン展」が始まりました!
昨日はそれに先立ち、オープニングレセプションが行われて、430人ほどの方々にお集り頂けて大盛況でした。
実は皆さんの足元がデザイン的にはポイントなので、あまり大勢の方々が一度に入場されると、デザイン上の特徴に気がつきにくかったかなとも思いますが。。。レセプションにお越し頂いた方も、ぜひ再度会場全体も観て頂けると嬉しいです。

会期は8日までですので、ぜひお越し下さい!
詳細はこちらでご覧頂けます。





2015年10月28日水曜日

今週末より

今週末からいよいよ「愛のコンティニュアスデザイン」展が始まります。
会場のデザインを担当しています。
会場はインスタレーションのような空間で、きっと楽しんで頂けると思います。

詳細はこちらでご覧頂けます。
openersでも紹介されています。


会期は11月8日までありますので、お誘い合わせの上、ぜひお越し下さい!

2015年10月26日月曜日

究極のオーダー

「究極のオーダー」という強力な特集をしている、富裕層向け雑誌「リシェス」最新号(13号)にHouse in Pakseが紹介されています。実は発売は1ヶ月ほど前の9月28日で、ご紹介が遅くなりました。。

年4回の発売なので、しばらくは書店に置いてあると思います!

2015年10月10日土曜日

愛のコンティニュアスデザイン展

10月31日(土)から11月8日(月)まで、六本木のAXISギャラリーで「愛のコンティニュアスデザイン展」が開催されます。
雑誌AXISに連載中の「愛のコンティニュアスデザイン」でつくられたものを展示します。

「愛のコンティニュアスデザイン」は、プロダクトデザイナーの清水久和さんが日本を代表するメーカーとの恊働で"次のデザイン"を発信するという企画です。そのプロダクトを宮原夢画さんが写真に納めており、本展では清水さんによるプロダクトデザインと宮原さんの写真の両方を展示します。


下の写真には事務所に届いた、展示用什器のモックアップが映っています。
とても良い感じでできて嬉しいです。


展示詳細はこちらをご覧頂き、ぜひお越し下さい!





2015年9月25日金曜日

イタリアン

事務所の近所に、とても小さい、たぶん4畳くらいの大きさのOrbという花屋さんがあります。偶然前を通っても花屋さんとは思わないかもしれません。まず、よくある花屋の冷蔵庫がありません。大きなガラス瓶がいくかあって、そこに花やグリーンなどがバサッと入れられています。

僕もしばらくの間、まさか店頭売りをしているとは思いませんでした。きっとウェディングやレストランなどから、注文を受けた場合にだけ何かつくっているのだろうなと。と言うのもその通りが、大通りからずいぶんと離れた通りで、そもそも不特定のお客様を相手にしているようなロケーションではないからだと思います。

辻野さんという男性が一人でやっていて、今ではよく利用させてもらっています。ある日、「謝りたいので、素直な、静かな感じでお願いします」とリクエストしました。「こんな感じで良いですか」と見せられた小さいブーケは、とても謙虚そう、かつセンス良かったです。おかげさまで、無事に難所を乗り切れた気がします。

さて、つい先日、そこに3歳の息子を連れていきました。彼があちこち触るのを見かねた辻野さんから一輪のお花を頂きました。そのあと事務所に寄ったのですが、彼が向かった先は一直線(=他のスタッフのコメント)に、すらっとした女性スタッフのところ。さすがイタリアン(クウォーターです)だなあと。


2015年9月15日火曜日

Louis XIII experience

先週末、東京オペラシティで開かれた東京フィルのコンサートに伺いました。昨年末から何度か観ていますが、バッティストーニの指揮が素晴らしいです。高校生の時に、自分のバンドのライブが、知らない間に自分抜きで行われるという自体が起きてしまうほど、音楽は身に付かなかったのですが、、、そもそも演奏することと聴くことは別ものですよね。
バッティストーニの指揮は観ていてもとてもエネルギーを感じますし、演奏しているオーケストラの方々もそのエネルギーを受けてノッて演奏している感じが伝わってきます。
普通、多くのコンサートは演奏する側、それを聴く観客側に分かれています。僕なりに思うのは、バッティストーニが指揮する時には、自分がオーケストラの一部であるかのような、演奏側との一体感を感じるということです。それで演奏が終わったときに、自分は弾いてないのに、あたかも自分が演奏を終えたような感覚を覚えます。
このコンサートでは反田恭平さんのピアノが、聴き手を引き込まずにはいられない圧倒的なパフォーマンスで、さらにオーケストラとの一体感が強まりました。自分が一流のオーケストラの一員になって演奏したような気分なので、自ずと素晴らしい演奏だった!という感想になるんですよね。

さて今回のコンサートの後、素晴らしいディナーへと続きました。Louis XIII Experienceというコニャックの最高峰「ルイ13世」を体験する機会をいただいたのです。コンサートもLouis XIII Experienceからのご招待で、お迎えのリムジンでHYATT REGENCYのCuisine Michel Troisgrosへ向かいました。このディナーのためにLouis XIII仕様に設えを変更した個室で、素晴らしい料理とワイン、そして世界的なクラリネット奏者のRichard Stoltzmanご夫妻始めとしたごく少人数の素晴らしいメンバーとの楽しい会話。
そしてルイ13世!100年の熟成期間をかけてつくられています。バカラ製のボトルからルイ13世仕様のグラスに注がれた液体はとても美しく芳醇な味わい。。。

ディナーの最後にRichardさんがご挨拶をされて、ご自分は演奏家であるけれど、今の世界で大切なことは「聞く」ことだと仰っていたのが印象的でした。
音楽、料理、ルイ13世という3つの芸術を堪能させて頂きました。





2015年9月9日水曜日

リゾートの計画

8月は丸1ヶ月間、久しぶりの一人暮らしをしました。

妻子が軽井沢とヨーロッパへ2週間ずつ滞在したためですが、なぜかそういう時に限ってほぼ毎月ある海外出張も特になく、自宅と事務所を往復する日々。家にはミッキー(カブトムシの♂)とマウス(♀)がいたので、朝にはバナナ、晩には土に霧吹きをするというのが日課という地味な日々でもありました。
ちなみに今は2匹が残した4匹の幼虫のために、やはり霧吹きが日課です。

神宮外苑の花火大会の日は夏らしいイベントに誘われて、「流し素麺」に参加しました。いつもお世話になっているS&Oさんのオフィスが会場でした。超一流のプロダクトデザイナーである清水さんによる流し素麺の設えは、もちろん全て立派な竹で作られていました。オフィス内からバルコニーへ達するように竹が通されてその上を素麺が流れ、素麺流しの水はバルコニーのドレンに流れて行くという、さすがによく練られた企画でした。脚部も竹を組み合わせてつくられていました。
花火大会の混雑も大変多くて、なかなか思うように歩けずかなり遅刻しながらもようやく到着して、まずは白ワインで乾杯!しようとしたら、ようやく到着した安堵が油断させたのか、僕の脚が竹の脚にかかりました。そして竹は崩壊。。。焦るだけの僕でしたが、友人で建築家の中山英之くんが構造力学の話を面白くしてくれながら、冷静に組み直してくれました。もつべきは建築家の友人だと感謝した瞬間でした。

こんな調子で、どこかリゾートにでも行く計画を立てたいところですが、 幸いなことにリゾート施設の計画が始まりました。とても美しい場所で本当に楽しみです。とはいえ写真はクライアントから送られてきたもので、まだ行ってはいないです。。


2015年8月19日水曜日

東南アジアでプロジェクトをもつということ

House in Pakseのスタートから完成までをまとめてみました。
東南アジアでプロジェクトを進めることの特異性を理解して頂けると思います。


1. プロジェクトの打診
2011年の夏、ラオスのプロジェクトに興味がありますか?と連絡があったので、もちろんあります、と答えました。早々に概略の打合わせをして、まずは現地へということになり、その1週間後にはベトナムを経由してラオスのPakse空港へと向かうプロペラ機に乗っていました。

[国営Lao Airのプロペラ機 | ホーチミン空港にて]















2. 現地確認
飛行機のなかから、あそこがその建物ですよと言われました。首都に続く第二の町とはいえ、Pakseという小さい町のなかに、明らかにスケールが違う宮殿のような建物がはっきりと見えました。その建物の目の前を、雄大なメコン川が流れていました。

[定宿のホテルから眺めた敷地全体の様子。左手がメコン川]
















[夕暮れのメコン川]
 

















空港にはクライアントが迎えに来てくれていて、それが初めて彼女と会った時です。20代のベトナム系ラオス人女性で、このプロジェクトは彼女の自宅のインテリアを計画するものです。敷地を案内してもらったり、その他にこの場所がどんな地域なのかをなるべく体感しようと、あちこちに連れていってもらいました。
建物自体はタイ人の建築家によって設計されたもので、内部にはその設計による間仕切り壁が工事途中で放置されていました。

[中断されたままの現場現況]















3. 調査
東京に戻り、現地で行なった情報を整理しながら、あらためて様々な調査とヒアリングを一気に行ないました。その作業を通じて、プロジェクトの作業ボリュームを定義します。不明なことも多いですが、ある程度を仮定しながら大枠を決めるような作業です。
ラオスでの建築工事は基本的にタイやベトナムなど、隣国からの長期出張による職人達によって行なわれています。工事請負は法人で行なう場合もありますが、個人の工事監督がパラパラと注文を受けて行なう場合も多いです。それは工事規模に関わらないので、工事体制はかなり複雑です。そのあたりの実情を読み解いていくことが非常に重要になってきます。私達はアメリカやヨーロッパにもプロジェクトがありますが、それらの国々とは異なり、ラオスにはローカルアーキテクトなどという概念は存在しないので、ケースバイケースでゼロレベルから調査することが必要になります。

4. 契約書作成
調査をもとに設計及び監理費の算出を行い、英語による契約書ドラフトの確認と合わせて見積交渉を進めました。なお、外国のプロジェクトの場合には交通費と滞在費については、実費として別途にするケースが多く、今回もそのようにしました。契約書の文言等を調整してのち、設計契約を東京で行ないました。

5. 設計
設計契約後、直ちに現地訪問しました。建築図面があったのですが、どこまで現実との整合性があるのかが不明で、一番最初にすべきことは全て実測することでした。寸法はもちろん、構造を含めて詳細に調査しました。さらに設備インフラについても把握する必要がありましたが、分ったことは「何も来ていない」ことでした。そもそも建築が出来上がっているにも関わらず、何一つ配管的なものが外部とつながっていないのです。つまり建築工事を行なう必要が生じました。このプロジェクトは契約としてはインテリアデザインでしたが、建築工事を含めて考える必要が生じました。日本であれば、建築を工事した会社や担当者に聞いてみるところですが、そういう立場の人とはすでに連絡不能、あるいはそもそも全体を総括しているような立場の存在がないという状況です。地道にヒアリング、調査、推理をしながら状況を読み解いていきました。聞くべき相手がおらず、誰に聞いたら良いかを誰も知らない。そういう、途方に暮れるような状況はラオスに限らず、都南アジアではよくあることです。設計期間は、ほぼ全て調査期間とも言えます。

[レーザーで寸法を実測中]















5. 請負業者選定
上述したようにラオスでの工事請負の事情は非常に複雑です。ローカルの業者を探しても全く機能しないことが分っていますので、必然的に近隣諸国でコントラクターを探すことになります。ラオスは内陸国で、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、中国と多くの国々に国境を接しています。地勢的な理由と建設技術のレベルを考慮してタイ、中国に目星をつけました。Pakseはタイ国境に近いため、職人や材料の手配が容易な上に、タイの施工技術は高い。一方、中国は少し地理的には離れますが人件費や材料コストがタイよりもかなり抑えられることで、バランスが取れます。中国では、海南島で多くのラグジュアリーホテルを手がける施工会社の工事現場と竣工建物を視察に行き、施工レベルの高さを確認できました。最終的にはタイのバンコクにある日系の会社にコントラクターを引き受けてもらい、サプライヤー(下請)としてバンコクとベトナムのハノイに拠点を持つ、やはり日系の会社に入ってもらうことができました。ラオスで日系企業がODA以外で一定規模以上の工事を請け負ったのは、これが史上初めてではないかと思います。それほど様々な困難を乗り越えた末での請負業者選定でした。


6. 工事見積
設計過程ではそれなりに難しい部分もありましたが、やはりポイントは現場との整合性です。日本のプロジェクトで「不明」と言うときの次元とは完全に異なります。現地に行っても不明点が明らかにならないことがほとんどなので、不明は不明なままにしておいて、工事段階で新設するようになることが多いです。つまり、いろいろなことを見込みで設計しておいて、工事段階で対処するわけです。そのあたりの見当のつけかたがとくにコストに反映するため非常に重要になってきます。分りやすい例では、お湯の供給をどうするか、という件がありました。敷地内にある他の建物と共有して使用する「らしい」ボイラー室からお湯が供給される「らしい」という情報がありました。一方で、私達の建物へのその配管経路がどうなるかを把握している人を、どうしても見つけることができませんでした。そのため、建物への引き込み位置を想定して、PS等も配置します。そういう状況での工事見積なので、概算的にならざるを得ないのですが、そうすると非常に高額になってしまうので、決定できる部分とそうできない部分を見極めて、見積りに反映させる作業が重要です。なお結果的には、お湯は最終的にも供給されなかったため、電気式ボイラーをシャワーを含めて、各水栓の近くに設置することで対応しています。それはタイでは一般的なシステムです。

[着工前の打合せ風景]
















7. 工事
工事契約も無事に済み、いよいよ着工となりました。途中、タイでのクーデターが起きたりもして、なおさらではありますが、現場状況を把握することが本当に大切です。クーデター直後、タイからのワーカーが国境を越えられないという事態が発生したり、ラオスへ入国したとしてもタイに戻りづらくなってしまう、というウワサが流れたりしました。時には軍関係者との折衝をコントラクターにしてもらいながら、随時連絡をとり合うことで、混乱のなかでも工事が宙に浮かないように動きました。クーデター直後ではありましたが、軍関係者からの情報を総合して安全だろうという結論を出して、すぐに現地へ状況を確認に行きました。当然に現場の工事管理が乱れて、大きく遅れてしまったことが分りました。そのため、早々に事務所の担当スタッフが1人現地に常駐を開始し、それから完成までの半年間ほど現地で工事監理を行いました。
ラオスに限ったことではなく、東南アジア全般に言えることですが、元請と下請の関係が日本と逆です。下請の立場が非常に強く、下請がへそを曲げると元請がどうしようもなくなってしまうという事態がよくあります。それは職人のレベルでも同じです。大っぴらに批判したり、進捗の遅れを催促すると、ポジティブな方向へは決して向かわず、現場から立ち去ってしまい、二度と帰ってこないということが往々にしてあります。そのあたりは日本のように、工事が進むことを当然だとする思考、論理では通用しません。工事が進まないことは、下請や職人にとっては全く問題ではないのです。そこを心底理解しておかないと、東南アジアでは工事が完成することは永遠にないでしょう。その理解の上で、設計監理者も全力で頭と身体をつかって、職人が動きやすいように様々な準備を万端に用意する必要があります。よく東南アジアでうまくいかなかった事例の話を聞きますが、多かれ少なかれこういった大陸的な思考に馴れなかったことが原因だろうと想像できます。でも馴れて、意識のなかにそういう大陸用のスイッチを持てるようになれば、東南アジアの深い森のなかで当てもなく彷徨うようなプロジェクトにおいて、自分の行くべき方角が見えてくるようになります。

[工事風景]



































8. 完成
かれこれプロジェクト開始から3年半が経ち、2014年の年末にようやく完成しました。広大な敷地にはもともと3棟の巨大な建物が建っていて全体が統一されたヨーロッパ古典調で外観はできています。それが目の前のメコン川の色にも似た黄土色で塗られています。ヨーロッパ古典調にデザインされた外壁と、そこに塗られた黄土色。その2つは非常に強い存在感をそれぞれ放っているように見えました。しかし全体としてはPakseの風景と融合しているようにも感じられ、意外にもその場所に固有なデザインとして存在しているようでした。その印象を私達のインテリアデザインにも持たせたいと思いました。
敷地周辺の風景からインスパイアされた割肌の岩壁、ラオス産のゴールデンチークで仕上げられたチーク壁。そこに大きなガラス壁やステンレス壁が隣り合っています。ステンレスもガラスも、この地域での伝統的で素朴な建物にはもちろん使われていませんが、突然に持ち込まれたこれらの素材が、地域に固有の素材と隣り合うことで、それぞれの存在感を発揮しながら、同時に融合した雰囲気をつくり出しています。

[全景 | 右側が対象建物]  photo : KOICHI TORIMURA











2015年7月16日木曜日

House in Pakse

インテリアの計画を開始してから3年半、長くかかったプロジェクトをついにアップできました。

思い返せば4年近く前、初めて現地を見たのは飛行機の上からでした。
「あそこが敷地ですよ」と機内から指を指されて、「あそこですか?!」と答えたのが懐かしいです。
普通、飛行機の上から特定できる建物は滅多にないと思います。

その後は、ベトナムから来た高僧のアドバイスにより、実施設計まで進んでいた計画が70%くらい変更する必要が生じたり、タイでクーデターが発生してタイ・ラオス国境が封鎖されて工事がストップなど、数えきれないドラマがありました。

工期の遅れを解消するため、「新たに職人を明日から3人増員します!」と聞いていたのに、「今日勝手に5人が国(タイ)へ帰ってしまいました。。」と、確かに3人来たけれど、結局減ってしまう、というようなことは、ごく日常的なことです。

House in Pakse、ぜひご覧になってみてください。


2015年7月15日水曜日

スタッフ

最近、スタッフの多国籍化が加速しています。
スタッフ6人中、4人が外国から来ていて、ハンガリー、オーストラリア、フランス、タイです。

海外のプロジェクトや、国内での外国企業、外国人用の計画をスムースに進めるためなのですが、それ以外にコンペもあります。
国際コンペをやるわけですが、国際コンペなのに要項がイタリア語版しかない、他のケースでは要項は英語とドイツ語のバイリンガルなのに、提出物はドイツ語だけしか認めないとか。。。

最近はスウェーデン語のみの要項、提出物というのもあります。
どんなに多国籍化しても、追いつかないでしょうね(笑)。





2015年6月12日金曜日

集合住宅の課題

芝浦工業大学3年生の集合住宅の設計課題のエスキスをしている時に、僕自身が3年生の時のことを話しました。
やはり集合住宅課題がありまして、「模型をつくってはいたものの、計画を必ずしも再現していたわけではない」というような趣旨でした。

当時は模型をいかにモノとして魅力的につくれるか、というところが僕にとっては最重要でした。
そこにしか興味がなかったと言っても良かったと思います。

この写真は最終の提出時に幾つかつくった模型のひとつです。
設計上は7棟か6棟ある計画で、そのうち1棟だけを表現しています。



2015年5月15日金曜日

組子

島根県の吉原木工所さんから組子の写真が送られてきました。
美しいです。

これは湯河原の温泉旅館「白雲荘」の改修工事のためのものです。
このプロジェクトでは日本の伝統工芸である組子や京唐紙を使う予定です。

営業を続けながら、エントランスロビー及びレストラン部分の工事ですが、6月に全面オープン予定。
写真はレストランの壁面を仕上げる組子で、模様は伝統的な「麻の葉」です。

旅館の眼下には美しい清流があり、レストランからはその風景を望むことができます。
完成がとても楽しみです。


2015年4月23日木曜日

ラオスで撮影


ラオスのプロジェクトの撮影に行ってきました。
途中、というか最初に、写真家の鳥村さんの三脚がタイ-ラオス国境へ向かう途中のウボンラチャタニ空港でロストするという一大ハプニングが起きました。

建築の撮影をする写真家にとって、三脚はカメラと並んで最重要かつ必須アイテムです。
一般的な三脚との違いは安定性を確保するために、非常に重いということと、雲台の操作性です。
ただ、今回に限っては、そもそも三脚を売っているカメラ店が見つかってラッキー!とします。

その後、三脚はチェンマイに行ってしまったことが分かり、その日の夜には無事にパクセに届きました。次の日の朝からは通常通り撮影できました。ただその時点で滞在時間はあと5時間で、そこから撮る範囲は1000m2。。。

2015年3月29日日曜日

15

日本語と英語で行なうプレゼンテーションは、言うことが結構違います。
英語のほうがより強く、積極的にアピールしますね。


その趣旨のなか、英語でのプレゼンテーションでの冒頭、自分の事務所の経歴を説明するため、15年間の実績を誇らしく「15」とスクリーン一杯に表示するデータを用意しました。
ただ大きく「15」と書いてあるだけです。
それだけ見せながら、何年に設立しました、とか英語で話すわけです。
履歴書のように時系列でリストで並べたものは、自分にとっては大切な情報でも、他人にとっては大した意味を持たない気がしますし、ページが変わった次の瞬間で忘れられるでしょう。
「15」年間の経験があるということが伝わることが最重要だと考えた上での見せ方です。

実際には15年間ではなく、14年間だったのですが(笑)、それはそれで数字としてリアルな(15だとちょっと記念っぽいので)感じで良い印象だなと。

4月で、事務所を設立して15年目に入ります。
(それを、まだまだこれから、と謙虚に言うのが、きっと日本語のプレゼンテーションですね。)

2015年3月11日水曜日

メールチェック

昨年末に完成したオフィスの撮影でバンコクへ行ってきました。

お忙しいなら日帰りにしますか?と頻繁な海外出張によって、すでに麻痺している僕の感覚で、写真家の鳥村鋼一さんに予定を聞いたところ、せめて1泊はしたいとの返事。それはそうですね。

ということで、
1日目
早朝5時頃にバンコク着→午後から撮影→バンコク泊
2日目
朝から撮影→15時頃にバンコク発→22時過ぎに羽田着
になりました。

ちなみに、バンコクに滞在中、鳥村さんは全くメールチェックをしないように見えました。
「見たとしてもやれることはほとんどないので」とのことで、いわれてみれば写真家としてはそうなんでしょうね。
撮影中はもちろん、それ以外の時間で僕が見ている限り、全く携帯をみようともしないのです。
とても新鮮で、かつ自然な気がしました。
昔はよく見た光景と言うか、行い(ここでは、行いをしない、ということですが)と申しますか。

一方、僕は東京の事務所とのメールのやりとりをはじめ、ほぼ一日中ずっとメールチェックと返信を繰り返し続けていました。
日本を離れていると、なおさら必要な気がしてしまって、そうなってしまいます。
それは、今よく見る光景ですね。

鳥村さんをみて、いつのまにか失っていたものに気付かされた気がします。
それと、毎回毎回、鳥村さんにいくらメールしても、電話しても、なかなか返事がない理由もよーく分かりました(笑)。



2015年2月2日月曜日

ポチ

事務所の近所では、場所柄だと思いますが大型犬をよく見かけます。
そのなかにアフガン・ハウンドもいるのですが、名前がポチだと知りました。
ポチは西麻布のバーによく行くそうです。



2015年1月29日木曜日

完成

ラオスで計画していたプロジェクトがついに完成しました。
インテリアなのに3年半。。。
おそらくラオスで、日本人がODA以外にこの規模でローカルのクライアントのために設計し、完成までいったのは初ではないかと思います。
このプロジェクトのさらにスゴいのは、工事も日系企業が引き受けたことにあります。
ま、そのあたりの特殊性のニュアンスはなかなか伝わらないことは知っています。。。

始めた当初は、東南アジアに詳しい誰に聞いても実現不可能と言われましたが、今はその言葉がどういう意味か本当によく、身に染みて分かります。
途中経過を考えると奇跡だと思えますが、成せば成るとはこのことですね(笑)。

写真は引き渡し直前で、スワロフスキーに特注してつくってもらった、滝のように見えるシャンデリアです。
合計630本の細いワイヤーで吊っているのですが、完成したと同時に70本余っていると告白されました。
そういう感じが、まさにこの工事の真骨頂です。
急いで所定の位置を探して吊ってもらいました。

来月竣工写真を撮影予定です。



2015年1月15日木曜日

結婚

本日1月15日に発売になった雑誌Penの「しあわせな結婚」特集。
妻と2人+1匹(ボクサー)で紹介されています。

自宅で撮影したので、少し様子が分かります。
結婚の特集なのに、自宅が載るという点で建築家としては何より緊張しました。

表紙はカヒミ カリィさん一家です。
ぜひご覧になってみてください!



2015年1月9日金曜日

ワイナリー

ロンドンにいる友人が帰国しているので、あちらで確認申請を出したばかりのワイナリーの計画を見せてもらいました。
温暖化の影響なのか、新しいワイナリーをフランス等だけではなく、イギリス南部で計画することが少しずつ増えているとか。

「今、ワイナリーの計画をしています」って言ってみたいセリフのひとつだなと思いました。

2015年1月7日水曜日

スタッフ体制

現在、事務所にはスタッフが6名おります。
そのうち3名が外国籍(ハンガリー、アメリカ、オーストラリア)です。
他に2名が日本人のバイリンガルとトリリンガル、1名は普通の日本人という体制。

最近のプロジェクトが外国であったり、国内でクライアントが外国人だったりすることが増えているので、そのような体制になってきました。
その一方で、湯河原で温泉旅館を計画していたり、美術館での展示計画もあったりと、多岐に渡ります。
スタッフの体制もプロジェクトもダイバーシティです。

そういう状況にご興味あるかた、スタッフ募集中です。
あ、もちろんプロジェクトも(笑)。



oggi」と「bosco」をようやくWEBに載せました。
ぜひご覧ください!



2015年1月5日月曜日

仕事初め

あけましておめでとうございます。

年始は元旦に会社の氏神神社である麻布氷川神社へ新年祈祷、2日に自宅の氏神神社に初詣へ。
そして仕事初めとなった今日5日はスタッフを連れて山王日枝神社へやはり新年祈祷をしてきました。

例年通り、あとは鹿島神宮と香取神宮に行く予定です。
どうして幾つも行くかというと、それぞれの神社で参拝する目的も違いますが、何よりも行くたびに気分が晴れて、調子が良くなるからですね。

神社の空気感のような、静謐な空間をつくりたいといつも思っています。

今年もどうぞ宜しくお願い致します。